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ネイチャー案内

イチヤクソウ 6~7月

  鳩山町の動植物は
          多様性豊かです。

 
埼玉県生態系保護協会 東松山・鳩山・滑川支部の指導、協力で鳩山町の生物調査を実施中で、掲載写真の多くは、調査中に撮影したものです。(ネイチャー案内の写真は、小山正人氏、串田宏人氏、愛場結偉氏、比企野生生物研究所の内田博氏から多くを提供いただいています。無断で転載はできません)
サシバ

鳩山町の絶滅危惧種・植物編

鳩山町の絶滅危惧種について
さまざまな理由で、緑地、河川、田畑、湿地などが造成されて、大規模な工業地や太陽光発電施設に「開発」され続けています。その結果、県内でも毎年多くの生物が絶滅の危機に置かれています。田園や山林の自然環境が減少して都市化していくことは、かろうじて残されている生態系にとっては「海や陸地の生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進」という目標に反します。かってごく普通に身近にあった動植物が、次々と絶滅危惧種に指定されています。目先の利益を追求する多くの「開発」は、100年後の利益を損なうものが多いのです。とはいえ、「すべての開発に反対する」のではありません。開発行為が「地域の持続可能な開発」であるのかのチェックが必要です。
自然の「持続可能な開発」のバロメーターが、すなわち絶滅危惧種の存在です。いうまでもなく絶滅危惧種が保全されず開発されれば、自然は持続できません。
「海や陸地の生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進」は、国連による、日本政府も推進しているSDGs(sustinable development gools)の17目標のうちのひとつです。
以下は、鳩山町の植物絶滅危惧種です。私どものチームが確認した範囲なので、この他にも多くの危惧種があるはずです。
次は、明治20年台に足尾銅山鉱毒事件に対して、身を挺して抗議し一生を終えた田中正造の言葉です。
  真の文明ハ 山を荒らさず
  川を荒らさず 村を破らず
  人を殺さざるべし

 ーーー<植物>---
 ーー【春】ーー

ミズニラ  全国NT、県VU。谷津田,休耕田で生育する。多年生。水生シダの一種で、胞子により繁殖する。
ミズワラビ  県NT。水生の珍しいシダ。葉には栄養葉と胞子葉の2形がある。熱帯魚用の水草として「ウォータースプライト」の名前で売られている。
キクモ 県NT。オオバコ科。金魚鉢の水草として古くから使われてきた。
ミズマツバ 全国VU 県VU。アクアリウムの水草として知られる
オカタツナミソウ 県NT 花期5~6月。花が同じ高さに集まってつく。
トウゴクシソバタツナミソウ 県NT。 花期5~7月。
ギンラン  県VU 花期5~6月
キンラン  県EN、国VU。5月中旬~下旬に開花。キンランは、イボタケ、ベニタケなどの菌種に栄養源を依存しており、移殖などでその生育環境が保持するのは極めて難しいとされている。これはギンランも同じ。
ササバギンラン  県NT。5月中旬~下旬に開花。花序より葉が高い位置にくるか同じ高さとなる。また、ギンランより全体に大型になる(WIKI)

シュンラン  県NT。3月下旬~4月下旬に開花。特定の菌に栄養分を依存しており、移殖しても長くは生育できない。

ハタザオ 県VU 花期4~6月 アブラナで、科河川敷など草地に生育する。減少が著しい。
オオヤマフスマ  県EN(1B) 花期6月~8月。林道、登山道脇の林縁や明るい林床に生育する。
ノハナショウブ 県VU 花期6~7月 盗掘被害や湿地減少で減少。ハナショウブの原種。

ーー【初夏】ーー

ホタルカズラ 県VU 土地開発や盗掘が多く、急激に減少、花期4~5月。花が鮮やかな青紫色。
ミゾコウジュ 全国NT、県NT。5月に田んぼなどの水辺縁に開花。
キキョウ 全国VU、県CR。園外採取などにより急速に激減している.
サイハイラン  県NT。5,6月に開花希.普通は長い葉が一葉のみ。移殖は困難。生育に必要な養分を光合成以外に菌類からも得て生育する部分的菌従属栄養植物であるためと考えられる。サイハイランは緑色葉を有しつつ、菌従属栄養性を発達させる途上にある植物であると考えられる。栽培技術、移植技術ともに未確立であるため、現在のところ自生地保護以外に効果的な保護対策はない(wiki)。
コクラン  県EN。6~7月に開花  常緑性で葉は冬を越し翌年に出た葉と入れ替わる。茨城県以南の常緑樹林内に生育。偽球茎(バルブともいわれる)を作り新しい株を作る。「埼玉県希少野生動植物の種の保護に関する条例」で厳しく保全が規定されている。
クモキリソウ 県NT ラン科
キクムグラ 県NT。アカネ科。5~6月に白い花が咲く。日本特産種 。アラカシ、スダジイなどの常緑樹林の林床に生育する。
ハンゲショウ 県VU 平野部の湿地、河川敷などに生育する。花期6月末~7月。花が咲くときに葉の部分が白くなることから「半化粧」ともいわれる。
アヤメ 県NT アヤメ属の特徴として、葉の表面がなく、見えているのは裏面だけ。花期5月上旬~中旬。全草に毒性がある。
カワモズク 県CE,国VU。冬から夏にかけて生育する一年生藻で、水質のよい沢や湧水で、見られる。足利市の芋の森の二ホンカワモズクは、天然記念物に指定されている。

ーー【夏】ーー
ヌマトラノオ 県NT 花期7~8月。河川敷や休耕田などの湿地に生育。花穂が上に立っているのが特徴。
ミズオオバコ VU 国VU、水田雑草
ヒシ 県NT 種子が食用になる。春、前年に水底に沈んだ種子から発芽し、根をおろし茎が水中で長く伸びはじめ、水面に向かって伸びる(WIKI)。名前が葉によるのか実によるのか両説がある。実は栗のような味がする。町内では、赤沼地区に「ヒシ沼」があり、他地区の溜め池でも見かける。
ナンバンギセル 県VU。ススキやオギなどに寄生する。葉緑素がなく宿主の根から吸収した栄養分に依存して生育する。ススキの減少などで見られなくなった。
コオニユリ 県NT 花期7月~9月 ムカゴなし、オニユリ=ムカゴあり
セトガヤ 県NT スズメノテッポウの仲間。春先の水田雑草。関東地方以西に生育。
オオバノトンボソウ  県NT。6月下旬~7月中旬に開花 種名はノヤマトンボソウ。ランの仲間なので、菌依存性が高く、移殖は極めて困難。

クロムヨウラン  極めて希 神奈川県VU
タコノアシ  全国NT。県VU 遊水地、花期9月。小さい花が吸盤の付いた蛸の足を下から見たものを連想させる。水田わきに生育する。群落の維持には適度な除草が必要とされる。
トンボソウ 県CR ノヤマトンボに比べ、湿地に群生することがある。

コカモメヅル 県NT 花期7月~8月 対生の2枚の葉がカモメに似ていることから。河川敷などの低湿地にあるオギなどに絡まる。

ーー【秋】ーー
カンアオイ 県NT ギフチョウの幼虫の食草。アリが花粉の媒介をするので生育地が移動するのに長い時間をかける。花期は9月ごろでそのまま越冬して春まで咲く。
シラゲヒメジソ 県EN 花期9~10月

 

 レッドリストカテゴリー
 EX 絶滅
 EW 野生絶滅
 CR+EN 絶滅危惧Ⅰ類
 CR 絶滅危惧ⅠA類
 EN 絶滅危惧ⅠB類
 VU 絶滅危惧Ⅱ類
 NT 準絶滅危惧
 DD 情報不足
 LP 地帯個体群
 RT 地帯別危惧